混獲とは、操業中に対象としていない魚や海洋生物を意図せずに漁獲してしまうことです。場合によっては混獲が避けられず、対象外の魚が漁網にかかってしまうことがあります。
なぜ混獲が問題なのでしょうか?
混獲は、ウミガメやイルカなどの絶滅危惧種・保護種(ETP種)が偶発的に網や釣り針にかかり、傷ついたり死んでしまったりした場合に特に問題となります。
また、ほかの魚が餌としている魚を不用意に漁獲してしまうことで、食物連鎖を乱すことも問題になります。さらに、混獲によって魚の個体群を維持することが困難になるレベルまでに減少させてしまうことがあります。これは、幼魚が脱出できるように漁具が設計されておらず、繁殖可能になる前に漁獲されてしまう場合などに起こります。責任ある、適切に管理された漁業は、混獲の削減に積極的に取り組んでいます。
混獲があっても持続可能な漁業として認められるでしょうか?
混獲の量が適切に管理され、混獲種が健全な個体数を維持している場合には、持続可能な漁業だと認められます。
ほとんどの持続可能な漁業においては、ある程度の混獲があります。重要なのは混獲をどのように管理するかです。漁業がMSC漁業認証規格にのっとって審査される際、科学者たちは、混獲の量とどのような生物が混獲されているかを調査し、それらの生物が持続可能なレベルにあるかどうかを判断します。
審査において、漁業管理者は、混獲種の個体数を脅かしていないこと、そして不要な漁獲を最小限に抑えるための対策を実施していることを実証しなければなりません。
混獲の許容レベルとは?
混獲の許容レベルは、どの海域で漁獲される個体群なのか、またどういう種かによって異なります。例えば、混獲の量が少なくても、絶滅危惧種の場合には混獲のレベルが高すぎると判断される場合もあります。混獲を管理するための措置の一つとして、混獲した生物を生きたまま海に戻すこともあります。
混獲を削減する方法は?
混獲は、MSC漁業認証を取得する段階で減らすことができます。認証取得を目指す過程や認証の有効期間中に漁業活動が改善されることは頻繁にあります。こうした改善には、調査への協力、操業方法の変更、魚の個体数を回復させるための措置などがあります。
漁業管理者が認証要求事項を順守しない場合や、MSC漁業規格を満たさなくなった場合、漁業の認証は一時停止されます。また、その漁業で獲られた水産物にMSC「海のエコラベル」を付けて販売することができなくなります。