MSC「海のエコラベル」は、水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証です。
MSC「海のエコラベル」って何?

MSC「海のエコラベル」が付いた水産物は、水産資源や環境に配慮しているとして、第三者の審査機関による審査によって認証された持続可能な漁業で獲られたものです。
サプライチェーン全体にわたり、MSC認証の水産物は、非認証のものとは分けて扱われます。認証水産物は持続可能な漁業で獲られたものであることが明確なかたちでラベルが付けられるため、消費者は安心して選ぶことができます。
MSC「海のエコラベル」が必要な理由
過剰漁獲は海にとって大きな脅威であり、それに対処することこそがMSCとMSC「海のエコラベル」の存在理由です。現在、世界の水産資源の3分の1以上は持続可能なレベルを超えて漁獲されているとされます。
過剰漁獲の背景にはいくつかの要因があり、何らかの対策を講じない限り、海をめぐる状況は悪化の一途をたどってしまいます。
水産物はすでに世界で最も広く取引されている食料品の一つであり、世界人口の増加に伴い、その需要も益々高まってきています。
過剰漁獲に加え、海洋生態系や水産資源の生息域への変化を引き起こしている気候変動の影響も深刻です。例えば北東大西洋では、海水温の上昇に伴い、サバ資源が北上するという状況が起きています。
また、有害な漁業への補助金も過剰漁獲の要因の一つであり、MSCはこれを廃止すべきと考えています。
魚を食べなければ過剰漁獲はなくなる?
世界の人口は2050年までに100億人に達すると予想されており、貴重な水産資源を持続可能な形で利用することが不可欠です。世界の沿岸地域で暮らす多くの人々にとって、漁業をやめるという選択肢はありません。
持続可能な方法で漁業を適切に管理すれば、水産資源は回復し豊かになります。その成功事例としては、適切な管理によって健全な状態にまで回復した、ナミビアのヘイクやパタゴニアのマジェランアイナメの例が挙げられます。
調査の結果、持続可能な漁業方策のもとで適切に管理された水産資源は、長期的にはより生産性が増し、海洋と消費する側の双方にとってのメリットが確認されています。世界中の多くの人々にとって、水産物はタンパク質の重要な供給源であり、生計の手段なのです。
サステナブル・シーフードとは?
サステナブル・シーフードは、水産資源や海の健全性が長期にわたって確保される方法をとっている漁業で獲られた水産物です。
MSCでは、持続可能な漁業のための要求事項を、MSC漁業認証規格として策定しています。現在、世界では天然の水産資源を対象とする570を超える漁業がMSC漁業認証を取得しています。認証を取得するためには、MSC漁業認証規格の3つの原則からなる要求事項を満たさなければなりません。
- 資源の持続可能性
過剰な漁獲を行わず資源を枯渇させないこと。枯渇した資源については回復を論証できる方法で漁業を行うこと。 - 漁業が生態系に与える影響
漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。 - 漁業の管理システム
原則1、2を満たすための地域や国内、国際的なルールを尊重した管理システムを有すること。また、持続可能な資源利用を行うための制度や体制を有すること。
認証の適用範囲外となる漁業は?
以下の漁業はMSC漁業認証規格の適用範囲外となり、認証を取得することができません。
- 両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類を対象としている
- 破壊的な漁業(毒物もしくは爆発物を使用)
- 過去2年間に強制労働による有罪判決を受けた漁業
- 国際的な合意に対し、一方的な免責規定のもとで行われている漁業
- 完全な養殖業(ただし一部の増殖漁業は審査を受けることができます)
- 過去2年間にシャークフィニング(サメのヒレを取り、残りの部位を海に廃棄する行為)で有罪判決を受けた漁業
MSC漁業認証の対象となる漁業活動は?
MSC漁業認証の対象は、使用する漁具、対象とする資源、操業する船舶、船団または個人を特定して決定します。これらのすべての側面を考慮に入れMSC漁業認証規格に照らして審査が行われます。これは認証単位(UoC)と呼ばれます。
認証の範囲外で漁業を行う船舶、船団、個人操業者については、MSC漁業認証が認められないため、これらによる漁獲物にMSC「海のエコラベル」を付けることはできません。
MSC漁業認証の対象に含まれる船舶については、MSCのTrack a fisheryから各漁業の「審査(assessments)」のタブの漁船名簿で閲覧できます。
MSC認証制度の厳格性
MSC漁業認証の審査は、第三者の審査機関によって行われ、検証可能で科学的根拠にのっとっています。漁業に対する認証はMSCが行うものではなく、独立した審査機関が行います。NGOなどのステークホルダーが審査プロセスに参加する機会も複数回にわたり設けられています。
漁業がMSC漁業認証を取得するまでには、平均して1年から1年半ほどかかります。認証を取得してからもそれで終わりではありません。漁業は審査員による年次監査を受け、認証の更新は5年ごとに行われます。
漁業認証取得に伴う条件には、漁業の最優良事例とされるレベルに達するための改善を継続して行うことが求められます。要求されている改善が一定期間内になされない場合、MSC漁業認証規格で求められる業績レベルに達するまで認証が停止されることもあります。
MSC認証取得漁業の多くは、世界で最も革新的で、最優良事例を実践している漁業です。
サステナブル・シーフードを見極める方法
MSC「海のエコラベル」は、MSC漁業認証規格を満たした漁業で獲られた天然の水産物にのみ付けられます。サプライチェーン事業者向けのMSC CoC認証規格は、MSC認証水産物と非認証水産物が混じらず、認証水産物にのみラベルが付けられていることを保証するものです。
世界では、7,000を超える事業者がMSC CoC認証を取得しており、その中にはスーパーやレストラン、加工業、流通業、倉庫など48,000以上の現場が含まれています。MSC CoC認証を取得した事業者は、トレーサビリティ、ラベル表示、認証水産物と非認証水産物の分別に関する要求事項に適合しているかどうかを確認するために行われる年次監査に加えて、抜き打ち監査を受ける場合もあります。
MSC「海のエコラベル」付き製品の表示に誤りがないか、MSC認証水産物が絶滅危惧種を含む別の魚種に置き換わっていないかを確かめるために、MSCはラベル付き製品のDNA検査を第三者に委託することがあります。科学誌 Current Biology に発表された研究によると、MSCラベル付き製品の誤表示率は1%未満であり、ほかの水産物の表示に比べて著しく少ないことが認められています。
過剰漁獲をなくすためにできること
私たち誰もができることがあります。それは市場や鮮魚店、スーパーなどで買い物をしたり、レストランで食事をしたりするときには、MSC「海のエコラベル」が付いたサステナブル・シーフードを探し、お店の人に尋ねてみることです。サステナブル・シーフードへの需要が高まるほど、持続可能ではない漁獲慣行が減るスピードは速くなるはずです。
また、各国政府に対し、過剰漁獲の要因となる有害な漁業に対する補助金を廃止するとともに、持続可能な漁業のための科学的な勧告に沿った漁獲枠の設定を求めることが必要です。過剰漁獲にどう対処すべきかはわかっていますが、過剰漁獲を終わらせるためには一人一人がそれぞれの役割を果たし、みんなで力を合わせていかなければなりません。