2024年6月26日
- MSC漁業認証の取得を目指すすべての漁業にとってMSC漁業認証規格がより実用的なものになるよう修正を加えた変更版を2024年7月に発行します。
- 変更版の認証規格に完全に移行する前には、第三者の専門家による全体的な見直しが行われ、要求される業績レベルに対する計画的な変更が公開の場で協議され、広範に検証されます。
- 現在MSC漁業認証を保持しているほとんどの漁業は、2030年11月まで漁業認証規格第2.01版を引き続き利用可能なため、十分な準備期間を確保することができます。
MSCは漁業認証規格第3.0版を実際に運用したことで特定された課題に対処しています。
漁業認証規格第3.0版は、4年にわたる集中的な協議と方針策定を経た結果であり、環境に関するいくつかの分野で重要な進展が見られましたが、その実施には大きな課題が生じています。懸念事項には、規定されたデータと情報の要件を満たす漁業の能力、および新設された「情報の正確性と信頼性の枠組み(ERF)」の要件を満たすために必要なすべてのデータ セットを管理機関が保有していない可能性があることが含まれます。
暫定措置として、2024年6月20日のMSC評議員会での承認を受け、7月にMSC漁業認証規格の変更版が発行される予定です。変更版によって漁業に求められる業績レベルが変わることは予想されませんが、技術的な問題や、ガイダンスと要求事項の間にある矛盾点が解消される予定です。また、不要な追加コストや複雑さの解消にも役立ちます。これは、2024年2月に発表されたとおり、より包括的な作業計画の第1段階です。
7月に始まる次の段階は、より広範で総合的な見直しです。これには、以前に発表されたERFの第三者による評価と、情報が限られている漁業を支援するために使用される「リスクに基づいた枠組み」の見直しが含まれ、これらの文書が意図したとおりに適用されるようにするためのものです。また、第3.0版策定に至るプロセスの外部評価が行われ、認証規格の構造と規格設定プロセスの両方を簡素化するための推奨事項と、さらなる問題の特定と対処が提案されます。
この全体的な見直しに続いて、漁業に求められる業績レベルの変更に関連する提案について外部から意見を募ります。さらなる変更は、審査での使用が義務付けられる前に、広範に検証されます。
MSCの最高経営責任者、ルパート・ハウズは次のように述べています。「大変遺憾ですが、発行された漁業認証規格第3.0版には問題が確認され、適用が困難であることは明らかです。第三者の審査機関は自信をもって規格を適用できなければなりません。また、規格の要求事項はステークホルダーにとって明確で、漁業者には実用的なものであることが必要です。MSCには、MSC漁業認証規格が効果的であり、その意図を実現できるようにするための包括的な作業計画があります」
MSC評議員会の新会長であるジャイルズ・ボルトン氏は次のように述べました。「MSCは、環境保護の成果を向上させ、ますます多くの世界の漁業が持続可能性への取り組みを確認し、実証できるようにするうえで重要な役割を果たしています。評議員会は、規格が十分に検証され、海洋における進歩を促進するという目的を果たしつつ、洋上で適用できる実用性を備えていることが必要であると明確に認識しています」
漁業は引き続き規格の変更版を選択して審査を受けることができますが、必要な変更を加え、全面的に検証できるように、すべての漁業に対し移行期限を延長しています。初めて漁業認証の審査を受ける漁業のほとんどは、第2.01版を2026年7月まで使用できます。認証取得済みの漁業は、2030年11月までに変更版に移行する必要があります。見直しはこの期間内に完了する見込みですが、見直しの結果や必要な変更によっては、移行期限がさらに延長となる可能性があります。
漁獲管理ルールに重点を置いた「セクションSE」が適用される漁業は期限延長の例外となり、次回の審査では規格の第3.1版を使用する必要があります。MSCは規格変更版の実施を引き続き注視し、意図する結果が得られるようにします。
こうした見直し作業の根底にあるのは、過剰漁獲の根絶というMSCのミッションです。それは、水産エコラベルと認証制度を通じて、持続可能な漁業に向けた取り組みを認識し、報いることです。