審査を円滑に進め、費用を抑えるためには、事前に綿密な準備をすることが大切です。審査は第三者機関により行われますが、MSCがサポートします。
審査の対象となる漁業
MSC認証プログラムは漁業の大きさや規模、水域、技術レベルにかかわらず、すべての天然漁業に対し、平等なアクセスを推進しています。
単一の魚種を対象とする漁業、複数の魚種を対象とする漁業、底引き網漁業、延縄漁業、手堀り漁業、かご漁業、淡水漁業、海洋漁業、沿岸漁業、沖合漁業、底魚漁業、遠洋漁業、増殖漁業も対象です。適用範囲外の漁業
- 両生類、は虫類、鳥類および/もしくはほ乳類を対象としている漁業
- 毒物や爆発物等を使った破壊的漁業
- 過去2年以内に強制労働の罪で起訴され、有罪となった漁業もしくは企業
- 過去2年以内にシャークフィニングの罪で有罪となった漁業
- 国際的合意に対し、一方的な免責規定の元で行われている漁業
- 完全な養殖業(但し、一部の増殖漁業は審査の適用範囲にあります)
増殖漁業
適用範囲内です。MSC認証の適用範囲に含まれるのは次の3つです。
- CAG(採取して育てる)例:ロープによる垂下式のムール貝養殖
- HAC(孵化放流)例:稚魚をある程度まで飼育し放流したあと、漁獲するサケ漁業
- HM(生息域の改変)例:人工魚礁(住処)を作ってロブスターを定着させる漁業
審査費用
審査費用は漁業クライアントが負担します。費用はMSCではなく、選定された審査機関に対して支払われます。 認証を取得した漁業からの情報によれば、費用は15,000米ドルから120,000米ドルまでとかなりの幅があり、漁業の複雑さや情報量、ステークホルダーの関与などにより変わってきます。コストに見合った価値あるサービスが受けられるよう、複数の審査機関から見積もりをとることを推奨しています。
審査期間
MSC漁業認証の審査に要する期間は、平均で12ヶ月から18ヶ月です。
データ不足の漁業の場合
小規模漁業や開発途上国の漁業に特に多く見られるデータ不足漁業の審査には、リスク評価に基づく審査枠組み(RBF:Risk Based Framework)が適用されます。
サポート
認証取得を目指す漁業を支援するため、多くの機関が資金援助を行っており、様々な可能性があります。資金援助に関する最新情報については、MSCジャパンまでお問い合わせください。
また、持続可能な漁業として認証されるために必要な改善を図ろうと多くの漁業が尽力しているなか、これに関連して、漁業改善プロジェクト(FIP)と呼ばれる組織的な取り組みが進められています。予備審査で、MSCの認証規格を満たしていないという結果が出た場合には、認証を取得するために必要な改善措置を促すツールを利用したり、技術的なサポートを受けることができます。
MSC漁業認証審査の概要
予備審査(任意)
認証取得に向けた課題の確認が予備審査の目的です。予備審査の結果が良好であれば、漁業はすぐに本審査に進むことができます。そうでない場合は、まず洗い出された課題の改善に取り組みます。
本審査
MSCではなく、独立した第三者機関による審査チームが、「持続可能な漁業のための3つの原則」に則り審査を行います。審査は、外部査読やステークホルダーからの意見を募る期間も含めて8カ月から18カ月かかり、平均でみると約12カ月です。
認証取得
MSC漁業認証の有効期間は5年です。認証取得時に付された条件についてこの期間に改善を行います。
年次監査
漁業の状況や管理について、重大な変化が生じていないかどうかを調査します。
再審査
MSC漁業認証を取得後、5年以内に行われます。
採点方法
MSC漁業認証規格の「3つの原則」に基づき採点されます。
漁業の取り組みは、3原則の下にある28の業績評価指標に照らし合わせて得点化されます。
60点は受け入れられる最低限のライン、80点はグローバルな成功事例、100点は最高水準を示しています。
認証を取得するためには、以下の条件が必要です:
- 各28項目の得点が60点以上
- 各3原則の平均点が80点以上
60点以上80点未満の項目が一つでもあれば、決められた期限内(通常は5年以内)に80点以上に改善するための取り組みが求められます。
認証を取得したら?
持続可能な漁業を行っていることが科学的に認められた、MSC認証取得漁業となります。
認証の有効期間は最大5年で、その間定期的に監査を受けることになります。
次のステップへ
ガイドをダウンロードする
MSC漁業認証プロセスの手引き(MSC漁業認証ガイド)がダウンロードできます(PDF)
MSC漁業担当者に連絡する
MSC漁業認証の取得について詳しくお知りになりたい方は、MSCジャパンまでお問い合わせください。