プレスリリース
2018年8月5日
消費者が望むのは海洋汚染の減少とより豊かな水産資源
- 22カ国の水産品を嗜好する消費者を対象とした調査の結果、一番の懸念は一貫して海洋汚染と過剰漁獲
- 水産品を嗜好する消費者の72%は、持続可能な水産物を取り扱っているという小売店の主張に対し、独立機関による検証を要望
- 消費者の83%は将来の世代のために水産資源を守る必要があることに同意
- 消費者は政府や企業よりも認証機関を信頼
- MSCへの信頼は依然として世界的に高く、MSCエコラベルの認知度はグローバルで4%上昇
ロンドン ― MSCは、シーフードを嗜好する世界の消費者意識調査を、大手研究機関GlobeScanに委託しました。MSCではこれが二回目の試みです。GlobeScanは、世界22カ国、25,000人以上の水産品を嗜好する消費者を対象とした調査を実施しました。その結果、スーパーで持続可能だとして売られている水産製品に対し、独立第三者機関による検証を求める消費者が増加していることが判明しました。2016年には全体の68%だったのが今年は72%に増えています。70%の消費者は、各企業が扱う水産物の持続可能性について、もっと情報を発信して欲しいと答えています。2016年にNielsenが行った別の調査においても、独立機関によるエコラベルに投資し、消費者と効果的なコミュニケーションを図っている企業の方が、競合他社よりも4%高い収益を上げているということが浮き彫りになりました。
持続可能性よりも価格
2016年に行った調査結果と大きく異なる点は、水産物を購入する際に、持続可能性よりも価格を優先すると答えた消費者が増えたことです。詳しく見ていくと、男女によって意識に差があり、男性は価格を優先するのに対し、女性は持続可能性を重視する傾向にありました。とはいうものの、ドイツやオーストリア、中国、スペイン、英国、スイス、イタリア、スウェーデンの消費者は年齢、性別を問わず、依然として価格よりも持続可能性を重視する傾向にあります。海洋保全のためには、持続可能な漁業が獲った水産物を選ぶことが必要であるとした回答者は全体の72%に上りました。また、これまで食べていた魚種ではなく、より持続可能な魚種を選ぶべきである、と答えた人たちも2016年には全体の68%だったのが、今回は70%に増えています。
MSCマーケティング担当責任者のリチャード・ストバートは次のように述べています。「今回の調査結果から浮き彫りになったのは、消費者がいかに海を大切に思っているか、ということです。しかし、情報があまりに混乱しているため、どうしていいのかが分からない、という消費者の姿も見えてきました。この事態を改善するためには、これまで以上に持続可能な水産物を選択することの意義を明確に伝え、容易に購入できるようにしていく必要があります。価格を重視する消費者が増えており、週に一度はシーフードを食べる、と答えた人たちが過半数を占めていることから、持続可能な水産物であることが一目で分かるようにし、求めやすい価格帯での提供がいかに大切であるかが明らかになりました。MSC『海のエコラベル』を信頼してくださっている消費者が大変多いことを嬉しく思っています。私たちは引き続き、MSC『海のエコラベル』の認知度を上げるために努力してまいります。」
MSCに対する信頼と理解
ビジネス全体に対する消費者の信頼は世界的に見ても依然として低いレベルで推移しています。そのなかで、MSCの「海のエコラベル」は69%の消費者から高い信頼を得ており、2016年には平均32%であった認知度が、今年は37%に上昇しています。18歳から34歳の若年層の41%は、MSC『海のエコラベル』の意味を理解して持続可能な水産物を選ぶとし、若い世代がより理解をしているという結果になりました。海洋保護に対する評価を見ると、NGOと科学者に続いて認証機関が第三位にランクインしており、消費者からの評価が最も低かったのが政府と大企業でした。MSCのエコラベルを認知している、と答えた消費者の79%は、MSCについて、健全な資源量の確保と海洋生態系の保護に対する漁業の取り組みを支援しているとして評価しています。
将来の展望
子供や孫たちの生活の質が現在より豊かになる、と考える人たちの割合は2000年以降、減少傾向にあることが、消費者の意識や価値観に関するGlobeScanの調査から浮き彫りになりました。MSCが委嘱した調査結果からは、こうした将来への懸念に加え、シーフードを嗜好する消費者の83%が将来の世代のために水産資源を保護しなければならないと考えていることが見えてきました。MSCを認識している消費者の81% は、MSCの取り組みは水産資源の保護のために重要であるとしています。海洋に対する最大の脅威は汚染であり、続いて過剰漁獲であるというのが世界の消費者の共通認識でした。18歳から34歳の若い世代の消費者と、それより上の世代とでは結果に若干の違いがあり、若い世代の方が平均してシーフードを食べる割合が低く、気候変動による影響を懸念する人たちが多い、ということが判明しました。
GlobeScanのアソシエイト・ディクレター、アビー・カーティスは次のようにコメントしています。
「将来に対する悲観的な見方が多いなか、消費者は希望と安心を求めています。調査を実施した全22カ国で、将来の世代のために水産資源を守ることが重要であると考える消費者が大半を占める、という喜ばしい結果となりました。信頼感が薄れている社会において、第三者機関による持続可能性の検証を求める消費者が増えていることも分かりました。このことは、弊社が小売企業やNPOクライアントから請負っている調査報告とも一致しています。」
このプレスリリースに関するお問い合わせ先:
牧野倫子/青本麗代
電話:03-5623-2845