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水産業界における強制労働および児童労働の撲滅を目指し CoC認証に新たな措置の導入

MSC(海洋管理協議会)は、水産物供給業者と加工業者への新たな要求事項を発表しました。これには強制労働もしくは児童労働のリスクが確認されたサプライチェーン内の企業に対しての、第三者による労働に関する監査の実施も含まれています。

MSCのアクセシビリティ担当責任者のYemi Oloruntuyi博士はこれについて次のようにコメントしています。「世界各国で、1億5千万人以上の児童と2千5百万人を超える成人が強制労働に従事させられています。MSCは、こうした違法労働慣行に一刻も早く対処する必要性を認識しており、認証水産物のサプライチェーンにおいてこの問題に取り組むための措置を講じました。サプライチェーンへの要求事項の改定により、水産物のバイヤーと消費者に対し、MSCおよびASC認証水産物の加工や包装に関わっている企業が、強制労働および児童労働に関与していないという保証をより確実に提供することができます。」

新たに導入された要求事項は、発行されたMSCのCoC認証規格の改定版に含まれています。CoC認証規格は、水産品のバイヤーと消費者に対し、MSCとASC(水産養殖管理協議会)の認証水産品のトレーサビリティとサプライチェーンの整合性に対する確固たる保証を提供するものです。現在、4,500を超える事業者がCoC認証を取得しており、およそ100ヵ国の45,000以上の現場で、MSCおよび/もしくはASCのマーク付き水産品を販売し、取り扱う資格を有しています。

 

強制労働と児童労働のリスク評価

強制労働または児童労働に関与している「リスクが低い」ことを実証できないすべてのMSC CoC認証取得事業者には、第三者による労働に関する監査の実施が義務付けられます。

労働に関する監査の必要性については、まずサプライチェーン企業が事業所を構えている国において、加工、包装、再包装、および荷下ろし作業で違法労働が行われるリスクがどれくらいであるのかを評価します。次の二つ以上の指数により、事業所を置く国が「リスクが低い」と判断された場合には、労働に関する監査を受ける必要はありません。

Country Risk Assessment Process for SA8000(SA8000のカントリーリスク評価プロセス)

International Trade Union Confederation Global Rights Index(国際労働組合総連合世界人権指標)

・Ratification of five or more UN conventions on forced or child labour, human trafficking or seafood/fishing(強制労働または児童労働、人身売買、もしくは水産物/漁業に関する5つ以上の国連条約の批准)

US Department of Labor List of Goods made with incidence of forced or child labour(米国労働省の「強制労働ないし児童労働によって生産された商品リスト」)

上記は水産業界で一般的に使用されている、透明性の高い、世界的に認知されている指標であり、多方面のステークホルダーとの協議プロセスを通して厳選されたものです。

 

労働に関する監査の必要性が認められた場合には、MSCが認定する以下の3つの労働に関する監査プログラムのいずれかに則った、独立した第三者の社会面審査員による現場での労働に関する監査の実施が求められます。

Amorfi Business Social Compliance Audit  ビジネス・ソーシャル・コンプライアンス監査

SEDEX - Sedex Members Ethical Trade Audit(SEDEX:サプライヤー倫理情報共有プラットフォームのSMETA倫理的取引監査)

・SA8000 Certification from Social Accountability International (社会的責任規格であるSocial Accountability InternationalのSA8000認証)

将来的には、SSCI(Sustainable Supply Chain Initiative)承認の労働プログラムも認定する予定です。

 

MSC認証企業に労働違反が認められた場合、30日以内に対処しない限り、認証は一時停止になります。

 

強制労働および児童労働の撲滅に向けて

強制労働および児童労働は水産業界全体を脅かす問題であり、迅速かつ容易な解決策はありません。MSCは水産業界での強制労働に対処するため、CoC認証規格および漁業認証規格の改定を継続して行なっており、今回の新たな措置もその一環として導入されました。

2018年8月に発行された要求事項では、MSC認証漁業および洋上のサプライチェーン企業に対して、強制労働もしくは児童労働を軽減するために講じている措置を明記した書類を提出するのに、1年間の猶予が認められていました。

MSC評議員会は2014年に、MSC認証要求事項の中に強制労働に関する明確な方針を含めることを宣言し、2016年にはMSCプログラムの中での労働に対する要求事項に関して、広範なステークホルダー協議を行うことを決定しました。今回発表された措置はそれを受けて策定されたものです。

 

MSC CoC認証規格に対するその他の改定

労働問題に関する新しい要求事項は、必要に応じて明確さ、アクセシビリティ(導入のしやすさ)、および整合性を向上させるために行われているMSCのCoC認証規格に対する広範囲にわたる改定の一部です。

 

すべての審査員は、2019年9月28日からMSC CoC認証規格の改定版を適用しなければなりません。既にMSCのCoC認証を取得している企業に対しては、当期日以降に予定されている最初の監査で改定規格を適用し、労働に関する監査の必要性が認められた場合には1年間の猶予が認められます。

 

(了)