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南オーストラリアのマイワシ漁業が、MSC(海洋管理協議会)漁業規準を満たした持続可能な漁業として認証を取得
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マイワシはオーストラリアの水産物において最大の漁獲量
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この認証により、オーストラリアの天然水産物の38%がMSC認証製品に
南オーストラリア州のマイワシ漁業が、国際的に認知されているMSC漁業規準を満たした持続可能な漁業であるとされ、このたびMSC認証を取得しました。
南オーストラリア州マイワシ漁業協会(SASIA)主催による祝賀会が本日、南オーストラリア州のポートリンカーンにて執り行われ、協会メンバーおよびステークホルダーの方々が一堂に会することになります。
この漁業は2018年の初めに独立審査機関であるMRAGアメリカ社に審査を依頼しました。MRAGは現地視察、聞き取り調査、ステークホルダー協議、関係書類や文献の検証、外部専門家による査読(ピアレビュー)により、漁業が適切に管理され、健全な資源状態が効果的な研究プログラムによってモニタリングされていることを確認しました。
南オーストラリア州マイワシ産業協会の執行役員であるマーカス・ターナー氏は次のように述べています。「MSC認証の取得により、当協会の個人及び団体メンバーによる過去25年間におよぶ努力が日の目を見ることができました。持続可能性に取り組む文化の構築に注力してきてる私たちは、国際的に認められている優良事例を実現できたことを誇りに思います。漁業者にとっては認証を取得する以外の選択肢はありません。」
ターナー氏は更にこう述べています。「政府と科学者との緊密な協働も認証を取得できた大きな要因です。共同の管理体制をとり、漁業の継続的な改善を推進することを目標として掲げていましたが、その延長線上にあったのが今回のMSC認証の取得なのです。今後益々発展に努め、持続可能な成長を続けていくことへの期待と喜びを感じています。」
南オーストラリア州では既にスペンサー湾キングプラウン海老漁業と南オーストラリアの湖とクーロン地区のピピ(ザルガイ)漁業が認証を取得しており、このマイワシ漁業は南オーストラリア州で3番目の認証漁業となります。
MSCオセアニア地域担当プログラム・ディレクターのアン・ガブリエルは次のようにコメントしています。「MSCは、世界の水産市場をより持続可能なものに転換することを目指しています。PIRSA(南オーストラリア州第一次産業資源省)と南オーストラリア州のマイワシ漁業がこれに賛同し、協働してくださっていることを歓迎します。」
南オーストラリア州のマイワシ漁業は8隻の巻き網漁船でオーストラリアのカリフォルニアマイワシ(Sardinops sagax)を漁獲対象としています。ほとんどが夜間の操業で、ソナーによってマイワシの魚群を探知した後、網で囲み、漁船近くまで網を巻き込むという方法をとっています。網にかかる魚の99.17%がマイワシという高い選択制を誇っています。
この商業漁業は1990年代後半から、南オーストラリア州に面した全海域で始まりました。マイワシ漁は年間を通じて行われ、ミナミマグロの餌となるマイワシを漁獲する11月~6月が繁忙期です。漁業は参入規制システムによって管理され、12ヵ月毎に商業漁業の漁獲許容量が定められます。マイワシの年間総水揚げ量はオーストラリアの水産物の中で最も多い27,500から42,000トンです。
マイワシ漁業を管理するPIRSA(南オーストラリア州第一次産業資源省)のスティーブ・シャンクス氏は次の様にコメントしています。「2000年に個別譲渡可能割当(ITQ)制度を導入したことにより、持続可能な漁業を促す枠組みが確立されました。」
「2000年当時の年間水揚げ量は5,000トンでしたが今では42,000トンにまで増えました。これは資源評価技術の発展と、マイワシ産業とPIRSAとが共同で策定した漁獲方策によるところが大きく、産業と政府が手を携えることで持続可能な漁業の枠組みが確立され、MSC認証の取得に至りました。PIRSAは引き続きこのマイワシ漁業と協働し、地元のコミュニティのみならず南オーストラリア州の全住民のために漁業を更に発展させていくつもりです。」
今回マイワシ漁業が加わったことで、MSC漁業規準を満たしているとして認証されたオーストラリアの漁業は18となります。合わせて25種の魚介類が認証種として扱われることになります。
現在、世界で350以上の漁業が認証を取得しており、世界の天然魚の総水揚げ量のおよそ12%を占めるまでになりました。2000年以降、漁法および環境管理について1,200を超える改善措置がMSC認証漁業によって実施されています。
認証審査は、独立した第三者審査機関によって行われ、MSC規準の3原則である資源の健全性、海洋環境への影響、適切な漁業管理を順守しているかが評価されます。認証取得後も継続的なモニタリングが行われ、年次監査に加えて、5年毎に再認証審査を受ける必要があります。
(了)