2007年07月11日
アサリ漁業が水産物エコラベルの審査へ
ベトナムのベンチェ省アサリ漁業が、東南アジアで初めて、海洋管理協議会(MSC)による、よく管理さ れた持続可能な漁業のための環境基準の審査を受けることになる。
手作業で採貝されるアサリは、国内で販売されるとともに、ヨーロッパ、日本、中国、台湾に輸出されて いる。持続可能な漁業のためのMSCの原則と基準を満たす漁業であるかどうか、独立した専門チー ムによる審査が行われる。認証取得が実現すれば、MSCのブルーのエコラベルを表示することができ るようになり、世界に広がる認証を受けた持続可能な水産物市場に参加することができることになる。
MSCの認証プログラムに参加する漁業による天然の食用水産物の総水揚量は4百万トンで、全世界 のおよそ7%に当たる。そして、世界28カ国700品を超える水産製品にMSCのエコラベルが表示さ れている。
ベンチェ省水産局、チャン・ティ・トゥー・ガー次長は、次のようにコメントした。「MSCの認証を取得する ことは、ベンチェ漁業のアサリが持続可能な方法で獲られていることを消費者に示すものです。MSC の審査プロセスによって、ベンチェの漁師たちも、持続可能な資源利用、生息環境の保全、ならびに環 境、生態系保護の問題をよく理解できるようになります。このMSCの認証によって、私たちのアサリの 市場を拡大できればと思っています。また同時に、魚種資源、その生息地や環境、軟体動物のトレー サビリティなどに対する人々の知識の向上、そして海岸に暮らす貧しい人々の生活の向上に結びつく ことを願っています。」
MSCの最高責任者ルパート・ハウズはこのニュースを歓迎し、こう述べた。「ベンチェ漁業がMSC認 証の本審査を受けることを大変嬉しく思います。2005年5月、ベトナム政府とMSCは、ベトナムの漁 業にMSCの認証プログラムを推進していく覚書に調印しました。重要な水産物輸出国であるベトナム から、さらに多くの漁業がベンチェに続いてくれるものと思います。」
WWFベトナムの海洋プログラムコーディネーター、キース・サイミントンとWWFアメリカのコミュニティ 漁業プログラムディレクター、メレディス・ロプキは、「産業界と政府の協力によって、この漁業の他にも、 MSCの認証審査の対象となり得る地域密着型漁業があることがわかりました。MSCについての対話 の結果として、持続可能性というものが、人々の中でより重要な位置を占めるようになりました。このエ コ認証への動きは、ベトナムの市場全体に変化をもたらしています。」と付け加えた。
MSC太平洋地域ディレクター、ダンカン・レッドビターは、「ヨーロッパをはじめとする水産物加工業者や 小売業者は、サプライヤーに対して、環境面の信頼性をさらに強く要求するようになっています。アジア の漁業においても、MSCの認証基準によってこのような望ましい状況がもたらされ、将来の安定につ ながれば良いと思います。」とコメントした。
2005年のベンチェのアサリ漁業による漁獲量は9,500トン超。MSC基準の審査は、認証機関のム ーディー・マリーンの主導により行なわれる。ベンチェ省人民委員会水産局とWWF の大メコン圏およ びコミュニティ漁業プログラムがこのMSC基準の審査に申請し、共同クライアントとして審査に参加す る。
詳しいお問い合わせ:
mscJapan@msc.org.
編集の方への注釈:
[1] MSCは、乱獲の問題の解決のために1997年に設立された国際的非営利組織です。天然魚漁獲漁 業を対象とする環境認証とエコラベルに係るプログラムを実施しており、同プログラムは広く認識され ている唯一のものです。合計60を超える漁業がMSCの取り組みに参加しており、その内の22漁業が 認証を取得しており、27漁業が認証審査中で(ベンチェ省のアサリ漁業を含む)、その他20~30の漁 業が予備審査中です。これらの漁業による水産物の年間総水揚量は400万トン超で、これは世界の天 然サケの漁獲量の42%、世界の主要ホワイトフィッシュの漁獲量の40%、世界のイセエビ漁獲量の 18%に相当します。MSCの基準を満たした漁業による、MSCのエコラベルをつけた水産物製品は700 以上にのぼります。詳しくはこちらをご覧ください。www.msc.org/Where to buy
[2] 認証取得漁業および審査中の漁業についてはこちらをご覧ください。http://www.msc.org/track-a-fishery