条件の達成・意見相違への対処・前倒し監査の3分野で
MSCの要求事項への改定案についてステークホルダーからの意見を募集
MSC(海洋管理協議会)は 本日、MSC漁業規準が一貫性を持って適用されていることへの保証を強化するための提案について、60日間の公開協議をスタートさせました。協議はMSC漁業認証プロセスを構成する要素のうち、条件の達成、意見の相違への対処、そして前倒し監査の3項目について行われます。
MSC漁業認証規準のディレクターであるロハン・カリーは次のように述べました。「MSCでは、世界中で認知されているMSCの持続可能な水産物の認証プログラムを維持するための継続的な取り組みの一環として、国際的な最優良事例を満たし続ける保証を提供するために、要求事項とプロセスの見直しを定期的に行っています。今回の協議は、適合性審査機関による漁業審査プロセスに焦点を当て、現実の問題、あるいは危惧される問題に対処することを目的としています。すべてのステークホルダーの方からの建設的なコメントやフィードバックを歓迎いたします。」
条件達成の見直し
MSCの漁業認証規準の業績評価指標において最低ライン(60点)を満たすものの最優良事例の要求事項(80点)を満たさない項目がある認証漁業に対しては、独立審査機関により認証を維持するための条件が付けられます。これは漁業に対し、業績を最優良事例レベルにまでに引き上げるための改善を求めるものであり、漁業は通常5年以内にその条件を達成しなくてはなりません。認証取得後においても、継続的な改善を推進することがその狙いです。条件達成のタイムラインに沿った改善がなされていない場合には、漁業のMSC認証が停止されることもあります。
条件達成に関する懸念がステークホルダーから寄せられたことを受け、MSCは審査機関を認定する独立認定機関であるAssurance Services International(ASI)に2件の見直しを依頼しました。ASIは、条件の付け方、評価方法、達成の検証方法、そして再認証期間にまで持ち越される場合について検討を行いました。その結果、条件の大部分はMSCの要求事項に従って達成されており、MSCの要求事項は時を経てより明確で強化なものになってきてはいるものの、まだ改善の余地があることがわかりました。ごく一部のケースでは、関連するすべてのMSC要求事項に準じないままに条件が外され、その後、不適合が提起されたことで条件が再度付けられた場合もあったという報告も受けました。
この問題に対処するため、MSCは審査機関による条件の設定、評価、および達成確認に至るプロセスを改善するための提案について、ステークホルダーからのフィードバックをお願いすることにしました。年次監査報告書にフィードバックする機会をステークホルダーに提供するという案、条件達成までの期限を4年以内とする案、そして報告用テンプレートを改善する案などがあげられています。
ASIの検証結果、および協議に参加する方法についての詳細はこちらをご覧ください:
https://improvements.msc.org/database/the-msc-assurance-review/consultation-conditions
専門家の判断に対する意見の相違があった場合の対処
MSCは、適合性審査機関やピアレビューア、ステークホルダーの間で、専門的な判断や科学的見解が異なる場合にどのように意見の対立を解消するかということについて様々な選択肢を模索しています。この協議では、そうした側面のひとつに的を絞ります。意見の相違がなかなか解決されない場合の対策として、陳述書の提出や調停メカニズムを模索する、といった提案についてステークホルダーからのフィードバックをお願いしています。協議に参加する方法についての詳細はhttps://improvements.msc.org/database/the-msc-assurance-review/consultationsをご覧ください。
前倒し監査
MSC漁業認証規準に則った審査の得点結果に重大な変更をもたらす可能性のある情報が新たに見つかった場合、認証漁業の年次監査が予定よりも前倒しで実施されます。
この協議では、前倒し監査中にピアレビューおよび/もしく協議期間を設けるといった案など、前倒し監査のプロセスをより明確にするための提案について、ステークホルダーからのご意見をお願いしています。協議内容についてはhttps://improvements.msc.org/database/expedited-auditsをご覧ください。
3つの協議はすべて2019年4月3日に終了します。協議の結果、MSCの要求事項に変更が生じる場合には、2020年初頭に発表される予定です。
その他の見直しや協議
現在、5年毎のMSC漁業認証規準の見直しが行われており、2021年までかけて漁業認証規準における持続可能性の基準の見直しに焦点があてられていますが、今回の協議はそれとは別に、新たに実施されるものです。
シャーク・フィニングおよび漁業の審査単位に関する協議は2019年3月に予定されています。
(了)