Skip to main content

MSCの最新ニュースをご紹介するプレスリリースです。

MSCジャパンのプレスリリースをメールで受け取りたい方は、 こちらの登録フォームよりお手続きください。

MSCの海洋管理基金が水産資源の保全、野生生物への影響を最小限に抑える研究を助成

MSC(海洋管理協議会)は7月15日、海洋管理基金から32件のプロジェクトへの新たな助成金について発表しました。インド、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、ペルーにおけるプロジェクトを支援します。

海洋管理基金は2018年の設立以来、海洋への継続的な変化をもたらすために、140件を超えるプロジェクトへ総額で660万米ドル(約10億4300万円)に及ぶ助成金を授与しました。これらの助成金は、より健全な水産資源のための改善、慎重な漁獲管理、海洋環境の保護を目的とした幅広いプロジェクトを支えてきました。

2024年度の助成金には、海洋の生物多様性の保全というMSCの目標に則した、学生による研究に対する助成金が含まれています。これらは野生生物や生態系への影響を最小限に抑えることなど、MSC認証の取得を目指す漁業による環境の改善を支援するものです。

非営利団体であるMSCは、持続可能性の規格を満たしているMSCラベルの付いた製品の販売からいただいている年間ラベル使用料の5%を海洋管理基金に充てています。この基金に対する第三者による寄付や企業からの資金拠出も増加しており、世界における持続可能な漁業の推進に寄与しています。

2024年度の海洋管理基金の助成金は、環境面で持続可能な漁業となることを目指して漁業改善プロジェクトに取り組む漁業を対象とした9件を含め、総額で445,000英ポンドです。

加えて、学生の研究員への助成金では1件につき最大5,000英ポンドを授与することで、個人の費用を補助し、漁業に関連する研究プロジェクトを援助しています。今年度の助成金の対象となったプロジェクトには、以下のようなものがあります。

  • メキシコ、海洋科学学際センターのロシオ・ナエリ・アベンダニョ・ビジェダ氏は、メキシコのマイワシ漁業が大型の海鳥に与える影響についての理解を深めるためにデータの収集を行っています。ビジェダ氏の研究によって、研究者がカッショクペリカンの個体群の大きさを正確に算出できるようになるでしょう。ビジェダ氏のプロジェクトは、MSCイタリアの「サステナブル・シーフード・ウィーク2023」キャンペーンの一環として、カルフール・イタリアと水産物ブランドのDeliciusからの海洋管理基金への寄付金によって助成されています。
  • 南アフリカ、ステレンボッシュ大学のリンディウェ・マカペラ氏は、南アフリカのヘイクはえ縄漁業とシャチやミナミアフリカオットセイとの遭遇について調査を行い、これらの海棲哺乳類に及ぶリスクを最小限に抑える操業技術を提案しています。この研究結果はヘイクの資源評価の精度向上にも貢献するものであり、管理方策は地域のほかの漁業と共有され、最優良事例の推進のために役立てられます。
  • ベルギー、ブリュッセル自由大学のミシェル・ヴァレリ・ラニャダ氏は、スリナムの漁業におけるデータ収集の改善に取り組んでいます。絶滅危惧種・保護種との遭遇に関する情報不足は、底びき網漁業における持続可能性への大きな障壁となっています。スマートフォンを活用した絶滅危惧種・保護種の観察記録のデータベース構築は、この漁業や地域のほかの漁業が、環境への影響を把握しそれを緩和するための取り組みに寄与することでしょう。

海洋管理基金について
海洋管理基金は、研究者や漁業が海洋保護に貢献するための方法を採用して実施するための助成金を通じて、持続可能な漁業の発展を加速させることを目的としています。例えば、漁業が漁獲の非対象魚種に及ぼす影響を最小限に抑えるために漁具や漁法の改善を行うといった科学的研究に基づいたプロジェクトなどがあります。