大洋エーアンドエフ株式会社(東京都中央区)のカツオ・キハダマグロまき網漁業が、持続可能な漁業の世界的基準であるMSC漁業認証規格を満たしているとして、MSC漁業認証を取得しました。
認証の対象は、子会社のTaiyo Micronesia Corporationが所有し中西部太平洋で操業する、カツオとキハダマグロのまき網漁業漁船3隻です。これらの漁船による2023年の漁獲量は、カツオ 17,900トン、キハダマグロ 4,700トンでした。日本でMSC漁業認証を取得している漁業は、これで22件となります(※)。
この漁業は、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の支援のもと2021年に実施された漁業認証の予備審査を経て、本審査を行いました。
認証審査は、第三者の審査機関であるSCS Global Services社により行われ、MSC漁業認証規格に照らし合わせて漁業が持続可能なレベルにあることが認められました。絶滅危惧種・保護種の管理戦略の有効性、サンゴ礁生息域への影響緩和などいくつかの項目では条件が付与されました。これらの条件については今後ミクロネシア連邦やナウル協定加盟国(PNA)、環境NGOと協力しながら、混獲種の記録の強化、新しい集魚装置の導入といった改善を進め、認証期間中に全項目で条件の達成を目指します。
世界ではマグロ・カツオ類を対象とする漁業のMSC漁業認証取得が加速しており、MSC認証マグロ・カツオ類の総漁獲量は、2017年度には100万トン未満であったのに対し、2022年度には260万トンを超えました。2022年度のMSCラベル付きマグロ・カツオ類製品の販売量は過去5年間でほぼ3倍にまで増加し、過去最高の17万8000トンに達しました。この背景には小売大手や水産大手企業が持続可能なマグロ・カツオ類に限定した調達を公約に掲げる動きがあります。
申請者のコメント
大洋エーアンドエフ株式会社代表取締役社長の粟山治氏は、MSC漁業認証を取得したことについて次のようにコメントしています。
「漁業認証の審査及び取得を通じて持続可能な漁業を次世代に繋げていきたいと考えています。当社の海外まき網漁業は、前身となる旧・大洋漁業時代の昭和20年代初頭よりさまざまな技術革新、改良を重ね、今日まで業界の発展に貢献してまいりました。持続可能な漁業は将来にわたる食糧供給に欠かせない重要な産業と位置付けています。漁業認証を取得した海外まき網漁業のカツオ、キハダを原料にして、持続可能性に配慮した製品の加工、販売を進めてまいります」
※MSC漁業認証を取得した漁業数は、申請漁業ごとの魚種数(系群ごと)で数えています。
現在、日本国内でMSC漁業認証を取得したのは以下の22件です(取得順)。
北海道漁連 ホタテガイ漁業
明豊漁業 カツオ・ビンナガマグロ一本釣り漁業
石原水産 カツオ・ビンナガマグロ一本釣り漁業
マルト水産 カキ漁
臼福本店 タイセイヨウクロマグロはえ縄漁業
尾鷲物産 ビンナガマグロ・キハダマグロ・メバチマグロはえ縄漁業
近海かつお一本釣り漁業国際認証取得準備協議会 カツオ・ビンナガマグロ一本釣り漁業
伊藤忠商事 カツオ・キハダマグロまき網漁業(1例目)
かつお一本釣漁業 カツオ・ビンナガマグロ一本釣り漁業
伊藤忠商事 カツオ・キハダマグロまき網漁業(2例目)
共和水産・明豊漁業 カツオ・キハダマグロまき網漁業
大洋エーアンドエフ カツオ・キハダマグロまき網漁業