南欧、北米、日本市場における力強い成長に支えられた
ラテンアメリカとインドネシアにおける漁業の持続可能性への取り組み
MSC(海洋管理協議会)は4月26日、持続可能な水産物の拡大に向けた新しい計画を発表しました。
スペイン・バルセロナで開催された世界的な水産見本市シーフードエキスポの開催に合わせ、MSCは過剰漁獲を防ぐための取り組みについて話し合うイベント、シーフード・フューチャーズ・フォーラムを主催しました。MSCの最高責任者ルパート・ハウズは、認証規格の策定者である非営利団体のMSCは、世界を先導する持続可能な漁業のための規格をこれまで通り維持しながら、持続可能な漁業の普及に向け市場機会を世界的にさらに拡大していく考えを示しました。この計画では、MSC認証取得漁業や持続可能な漁業を目指す漁業を支援するための調査や意見の発信にさらに注力することになります。「MSC認証漁業への移行プログラム(ITM)」をすべての漁業が利用できるようにすると同時に、漁業の改善のために必要となる資金を援助するために、海洋管理基金の規模を拡大します。
ルパート・ハウズは次のように述べています。「気候変動と過剰漁獲は、私たちの海と水産物の供給に対する脅威となっています。昨年は、海洋生物多様性をはじめとする課題について、多くの国際協定において画期的な進展が見られました。それらが実行されれば、私たちが分かち合う海を守る助けとなります。MSCは、政府、産業界、漁業者、科学者、自然保護活動家がこの機運を活用し、こうした公約を具体的な進展へとつなぐことを支えていきます」
本イベントで、国連食糧農業機関(FAO)の漁業養殖局長であるマルエル・バランジュ教授は、国連の「ブルー・トランスフォーメーション」戦略に沿って持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、海、河川、湖からの食料が重要であることを示しました。バランジュ教授は次のように述べました。「二酸化炭素排出量を削減し、陸上での食料生産への負荷を減らしながら、増加し続ける人口の食料を確保するためには、水産物が重要な役割を担うことが、各国政府間で広く受け入れられるようになってきています。しかし、それは持続可能な方法で生産された場合に限ります。水産物に関する新たな政策や投資、支援は、水産業が事業のあり方を変革する新たな機会を提供するものとなります」
このイベントでは、MSCチーフ・プログラム・オフィサーのニコラ・ギシューが、持続可能な漁業と水産物市場に関する最近の動向と進展について説明しました。2023年3月末時点で、世界の天然魚介類総漁獲量の19%がMSC認証取得漁業または認証審査中の漁業によるものであり、過去1年間で15の魚種を対象とした42の漁業が新たにMSC漁業認証を取得しています。マグロ・カツオ類とスケトウダラが引き続き主要な認証の魚種となっています。また、ラテンアメリカとインドネシアの漁業では大きな改善がみられました。例えば、エクアドルのマグロ漁業グループであるツナコンスは、5年間の漁業改善プロジェクト(FIP)を経て、2022年に初めてMSC漁業認証を取得しました。
MSCラベル付き製品の販売額は、2022年4月1日から9%増と、増加を続けています。リドル、フィンドゥス、ボルトン、ウォルマートといった重要な企業による取り組みが強化された結果、南欧、北米、日本における持続可能な水産物の売上は大きく伸びています。
ギシューは次のように述べました。「食料が地球に及ぼす影響に対する消費者意識の高まりは、小売業者の調達方針、そして海での漁獲方法にまで影響を与えています」
この変革を支援するためにMSCは、6月8日の「世界海洋デー」に関連した新しいテーマでのキャンペーンを今年と2024年に開催する予定です。健全で豊かな海を守るために、水産関連業界と消費者にキャンペーンへの参加を呼びかけます。
シーフードエキスポで毎年開催されるMSC主催のイベント、シーフード・フューチャーズ・フォーラムには、水産関連業界全体から300名を超える関係者が参加しました。
シーフード・フューチャーズ・フォーラムの映像と全プレゼンテーションのPDFは以下からご覧いただけます(英語)。
https://www.msc.org/seafood-futures-forum