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MSCのステークホルダー調査結果 最も緊急を要する海洋問題は水産資源の枯渇

MSC(海洋管理協議会)が実施したステークホルダーへの調査で、最も緊急を要する海洋問題について質問したところ、最多の回答は水産資源の枯渇でした。この調査は、海が直面する課題や、変革を妨げる障壁、MSCに対する認識を理解することを目的としています。

MSCのステークホルダー調査では、世界各国から1,000人以上のステークホルダーが回答しました。この結果は、今年設立25周年を迎えるMSCの方向性を定めていく際に重要なものとなります。

回答者の70%が、過剰漁獲を根絶するために活動するMSCを信頼していると答えました。同様に、高い割合のステークホルダーが、生命にあふれる海を実現するためにMSCの活動が有効であると考えており、ほぼ80%の回答者が、MSCについて好意的に話すとしています。

調査では、ステークホルダーの所属や地域による考え方の違いも浮き彫りになりました。MSCに対する信頼はNGOが最も低いものの、71%はMSCについて好意的に話すとしており、79%がMSCと関わる上での障壁はないと回答しています。

MSCとステークホルダーの関係をよりよくするための意見も尋ねました。漁業者からは、MSCプログラムがどのようにして生計を守ることを支援できるのかを示すことが、信頼構築の鍵となるという意見が挙がりました。

ステークホルダーは、MSCが厳格な認証規格を策定することによって成果を上げていると考える一方で、過剰漁獲を終結させるための政治的意志の欠如や、持続可能な水産物に対する消費者の需要の不足など、MSCがそのミッションを達成する際に直面しうる障壁を指摘しました。

また、ステークホルダーによって優先事項が異なることについても、課題として挙げられました。一般的に、NGOや科学者は、より多くの魚種に適用される、より厳格な基準をMSC漁業認証規格に求めています。一方、漁業やサプライチェーン企業は、規格の複雑さの緩和、費用の低減、MSCプログラムに参加するための障壁の軽減を望んでいます。

こうした課題はあるものの、ステークホルダーはMSCが果たすべき役割は大きいと考えており、MSCプログラムの規模、影響、適用範囲の拡大を望んでいます。また、今後MSCが注力すべき分野として、持続可能な漁業や消費者の認知向上のための提唱者としての役割強化などが挙げられました。

MSCの最高責任者であるルパート・ハウズは次のように述べています。
「現在、世界の天然魚介類総漁獲量のうち19%がMSCプログラム参加漁業(※)によるものですが、これは、多くのパートナーの協力なくして実現できませんでした。私たちのステークホルダーは、MSCプログラムに対して高い、時には相反する期待を持っていることがわかりました。今後もステークホルダーの積極的な関与を歓迎します」

MSCは2030年に向けた新たな計画の策定に着手しており、今回のステークホルダーからのフィードバックは、過剰漁獲の脅威に立ち向かうMSCの今後8年間の道筋を照らすものとなります。

この調査は、2021年11月から12月にかけて11の言語で実施されました。ステークホルダーはオンラインで回答しました。

MSCは、調査プロセスの独立性と厳格性を確保するために、大手調査・支援コンサルタント会社であるグローブスキャン(GlobeScan)に調査を委託しました。グローブスキャンがまとめた調査結果の概要の日本語の報告書は、こちらで閲覧することができます。

※MSCプログラム参加漁業とは、認証取得、認証一時停止中、認証審査中漁業を指します。