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倉橋島海産が垂下式カキ漁でMSC漁業認証の審査入り

広島県呉市を拠点とする倉橋島海産株式会社(代表取締役社長 斉藤紲男)が、MSC漁業認証取得のための本審査に入りました。倉橋島海産を申請者とし、申請者グループには倉橋島海産のカキ生産を担う子会社の大良および他社の垂下式カキ漁業者である彩水産、網文海産、米田海産、川崎水産が含まれます。今回の審査対象となるのは、申請者グループに含まれる5社の生産する垂下式カキ漁業で、広島湾北西部、中部、江田島周辺と広島湾内の各所に広がっています。2019年度(19年10月から20年6月)漁期の生産量は5社合計で約700トンでした。

同社グループは2018年9月にMSC漁業認証の予備審査を実施。2020年1月より漁業改善プロジェクト(FIP)に取り組み、カキ生産による絶滅危惧種や周辺の海洋環境への影響を把握するためのモニタリング、科学者との協働体制づくりを行ってきました。これらの取り組みと今回の本審査には、日本生活協同組合連合会がエシカルな消費への取り組みの一環として当初より協働・支援を行っています。

申請者グループはHOC(Hiroshima Oyster Cooperative:広島カキ共同体)を結成し、MSC認証取得に向けて取り組んでいます。

この審査は国内2例目の垂下式カキ漁の認証審査で、国内最大の生産量を誇る広島県では初となります。

申請者のコメント

倉橋島海産株式会社代表取締役社長の斉藤紲男氏は今回の審査入りに際して次のようにコメントしました。「広島県でのカキ養殖事業は400~500年の歴史があり、元来、持続可能な漁業であるとの自負がありました。しかし、グローバルな観点で考えると、単に現状維持だけではなく地球環境に配慮した持続可能な漁業の必要性を痛感し、将来に向け漁業における国際認証が一般消費者への重要なメッセージになると考えます。弊社の主要取引先である日本生協連様からは真の持続可能な漁業を目指すためには全面的に協力・支援するとのご提案があり、今回MSC認証を目指すことといたしました。ただし弊社1社では多様な製品に対応できる原料を確保できないことから、長年カキ原料の供給を受けている広島の業者の中で品質管理に信頼を置いており、なおかつ持続可能な漁業を目指すことに賛同していただいた彩水産、網文海産、米田海産、川崎水産と共に弊社の漁業部門である大良とで取り組んでいきます。」

MSCのコメント

MSCジャパンのプログラム・ディレクター、石井幸造は次のように述べています。「コロナ禍で国内外問わず大変な状況にある中、環境やサステナビリティに配慮した取り組みや商品がますます求められるようになっています。このカキ漁が認証を無事取得し、商品の価値がこれまで以上に認められようになることを願っています。今回の本審査入りにおいては、倉橋島海産にコープ商品(PB)を製造委託している日本生協連が認証取得に向けた支援を行ってきました。生産者と販売者が協力して認証取得を目指す試みであり、こうした取り組みが広がり、認証取得を目指す漁業がさらに増えることを期待します。」

※MSC漁業認証を取得した漁業数は、申請漁業ごとの魚種数で数えています。
現在、日本国内でMSC漁業認証を取得しているのは以下の12件です。

  • 北海道 ホタテガイ漁業
  • 明豊漁業 カツオ、ビンナガマグロ一本釣り漁業
  • 石原水産 カツオ、ビンナガマグロ一本釣り漁業
  • マルト水産 カキ漁業
  • 臼福本店 タイセイヨウクロマグロはえ縄漁業
  • 尾鷲物産 ビンナガマグロ、キハダマグロ、メバチマグロはえ縄漁業
  • 近海かつお一本釣り漁業国際認証取得準備協議会 カツオ、ビンナガマグロ一本釣り漁業


審査機関について

この審査は独立した審査機関のControl Union (UK) Ltd.社により行われ、対象種に関しての資源の持続可能性、漁業が生態系に与える影響、漁業の管理システムが検討されます。審査に参加を希望するステークホルダーの方は、同社の審査チームリーダーHugh Jones氏([email protected])までお問合せください。MSC漁業認証の審査では審査員による報告書案に対するパブリックコメントと、審査結果に対する異議申し立てを受け付けるプロセスがあります。パブリックコメントや異議申し立てを希望する場合、審査入りのアナウンスの時点で審査に関与いただくことが必要となります。

倉橋島海産株式会社について

前身である斉藤かき養殖場を経て、1988年創業。広島県呉市、瀬戸内海にある倉橋島に本社を置き、牡蠣の生産・加工・販売までを一貫して行うほか、生鮮パック、冷凍(IQF)、カキフライ、スチームオイスター、その他生牡蠣加工品全般を手がけています。