日本人が積極的に摂りたい食材 第2位の「魚介類」
魚介類の価格上昇を認識している一方、水産資源への危機感がある人は2割に留まる
~食品経済統計学の専門家より、2050年にはマサバの価格が1.5倍になる可能性も~
国際的な非営利団体MSC(海洋管理協議会)の日本事務所であるMSCジャパンは、6月8日の「世界海洋デー」に向け、全国20代~60代の男女1,000人を対象に、水産資源に関する意識調査を実施しました。調査の結果、コロナ禍でサステナビリティへの意識が高まっている中、水産資源が危機的な状況にあることを認識していながらも、未来の水産資源に対する危機意識が低いことが判明しました。
以下、調査結果をご報告いたします。
【調査サマリー】
- コロナ禍でサステナビリティへの意識が高まっている人は約7割
- 天然の魚の減少を認識している人は約8割
- 積極的に摂りたい食材の第2位は魚介類
魚介類購入の際、重視する点として約7割が「価格」と回答。価格上昇を感じている人も約7割 - 近い未来に身近な魚が食べられなくなるかもしれないと考える人は約2割
- サステナブルな生活をしたい人は約6割だが、実践できている人は4割未満
- MSC「海のエコラベル」を知らない人は8割以上
ラベルの意味を知った場合、選びたいと答えた人は約8割
* 本ニュースリリースに含まれる調査結果をご掲載頂く際は、以下のクレジットを必ず明記してください。
クレジット:「MSCジャパン 調べ」
* 小数点第二位以下は四捨五入しているため、比率の合計が 100%にならない場合があります。
■専門家コメント
日本大学 生物資源科学部 食品ビジネス学科 教授 大石敦志 氏
調査結果から、天然魚の減少や魚介類の値段上昇はなんとなく感じながらも、この先も変わらずに食べられる認識を持っているという実態が浮き彫りになりました。一方、消費者の品目別価格弾力性をもとに漁獲量の変化による価格予想を行ったところ(※)、 今から約30年後の2050年には、2000年代の始めより30~50%ほど魚介類の価格が上昇するという予測結果が計測されました。未来の水産資源危機について消費者に正しく知ってもらい、どう行動すべきかを考えるきっかけになってほしいと考えています。
※水産庁および国立研究開発法人水産研究・教育機構による予想漁獲量シミュレーションの下限値を使用。ここでの漁獲量は主要な系群(太平洋と秋季発生群)のみ。
■調査結果
1. コロナ禍でサステナビリティへの意識が高まっている人は約7割
Q1 コロナ禍でサステナブルな環境や社会への関心が高まったと答えた人は70.3%
2. 昨今の漁獲量や天然の魚の減少を認識している人は約8割
Q2 魚の獲りすぎ等により天然の魚が減ってきている事実を知っている人 79.6%
3. 積極的に摂りたい食材の第2位は魚介類
魚介類購入の際、重視する点として約7割が「価格」と回答。価格上昇を感じている人も約7割
Q3 健康のために積極的に摂りたい食材の1位が野菜で39.1% 2位が魚介類で22.8%
Q4 魚介類の購入で価格を重視している人 65.5%
Q5 魚介類の価格上昇を感じている人 74.4%
4. 近い未来に身近な魚を食べられなくなるかもしれないと考える人 約2割
Q6 現在よく食べている魚を食べることができないと思う人 19.1%
5. サステナブルな生活をしたい人は約6割だが、実践できている人は4割未満
Q7 サステナブルな生活をしたい人は61.2%だが実践している人は36.2%。25%のギャップがある。
6. MSC「海のエコラベル」を知らない人は8割以上
ラベルの意味を知った場合、選びたいと答えた人は約8割
Q8 MSC「海のエコラベル」を知らない人 86.2%
Q9 MSC「海のエコラベル」を選びたい人 81.8%
【調査名】水産資源に関する意識調査 【調査方法】インターネットリサーチ
【調査時期】2021年5月実施 【調査対象】20代~60代の男女(均等割り付け)1,000人
■調査結果からの考察
今回の調査から、水産資源の現状把握と未来への危機意識の間にギャップがあることや、サステナビリティへの意識と行動に隔たりがあることがわかりました。一方、身近に行えるサステナブルな行動の方法を知れば意欲が高まるということも明らかになりました。
MSCジャパンは、今後も日本の消費者の皆様に、MSC「海のエコラベル」付き製品を選ぶことが、サステナブルな漁業と未来の水産資源を守ることにつながることをお伝えしていきます。