MSC認証プログラムとMSC「海のエコラベル」を通じて、水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業の普及に組む国際的な非営利団体MSC(海洋管理協議会)は、2年に1度、世界規模の消費者調査を実施しています。
2020年1月から3月にかけて実施した、日本を含む世界23カ国の水産物を購入する消費者を対象とする今回の調査では、日本でのMSC「海のエコラベル」の認知度は19%で、前回から7ポイントの大幅アップとなりました。現在、日本ではMSC「海のエコラベル」付き製品が約900品目登録されており、2018年1月時点の登録数に比べ、2倍以上増加しています。MSCラベル付き製品数が急増し、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、マクドナルドなどで販売され、手に入りやすくなったことが理由として考えられます。
2020年6月8日の「世界海洋デー」には、日本の消費者の3人に1人が、水産資源を守るために今後サステナブル・シーフードを選びたいと回答したという、本消費者意識調査の一部を発表しました。今回発表する調査結果では、日本の消費者が海洋環境で最も懸念していることとして、プラスチックなどによる海洋汚染(65%)、気候変動に伴う海洋環境への影響(52%)に続き、過剰漁獲や水産資源の現状(43%)が挙げられました。また、水産資源の持続可能性については、72%の消費者が「子どもや孫の世代が魚を食べ続けることができるよう、水産資源を守る必要がある」と回答しています。「企業には持続可能な水産物についてもっと発信してほしい」(52%)、「消費者はより持続可能な水産物に切り替えるべきだ」(49%)と続きました。
MSC「海のエコラベル」を認知している消費者にMSCラベルへの信頼度について質問したところ、88%もの日本の消費者が「とても信頼している」、または「信頼している」と回答しました。また、半数の人がMSC「海のエコラベル」付き製品を周りの人に勧めると回答し、これは前回の調査に比べて14ポイントの増加となりました。
MSC「海のエコラベル」の認知度は日本でも高まっていますが、世界平均の46%に比べると高いとは言えません。MSC日本事務所は、これからも漁業者およびMSC認証水産物を扱う企業・団体と協力しながら、世界の水産資源を守り、将来にわたって魚を食べ続けていくことができる海洋環境を目指して、MSC「海のエコラベル」の認知・啓発に努めてまいります。
調査結果に関する国際ウェビナーを開催
アジア・太平洋地域での調査結果について、「食に対する消費者意識の高まり ~新型コロナウイルス感染症、気候変動、環境保護は消費者意識にどのような影響を与えるか~」と題した国際ウェビナーを開催します。このウェビナーにはどなたでもご参加いただけます。
MSCが調査を委託した独立調査分析機関のグローブスキャン(GlobeScan)、シンガポールおよび東南アジア地域のハイアットホテル、オーストラリアの食品メーカー、シンプロット(Simplot)、MSCオセアニアの担当者らが登壇します。ウェビナーは英語で行われます(通訳はつきません)。
開催日時:2020年11月12日(木)日本時間13時から(60分)
お申込み:以下のリンクよりお申込みください
https://globescan.zoom.us/webinar/register/9816019258070/WN_3QX_gv9XSlWAiUSBs7R1nA
消費者意識調査について
この調査は、分析および戦略コンサルティングを行う独立機関、グローブスキャンが開発した最新の調査方法、標本抽出および質問形式を用いて実施されました。
調査は2020年の1月から3月にかけて行われました。信頼性の高い、大規模な各国消費者オンラインパネルから回答者を募り、水産物を購入する消費者を各国最低600名確保した上で実施されました。
調査には、次の23カ国の消費者が参加しました。オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ合衆国
調査の主な対象者は、自分あるいは家族の誰かがこの2カ月の間に魚介類を購入したと回答した計20,876名の消費者です。