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サステナブル・シーフードの最新トレンド5選

節約レシピから世界の食文化に着想を得たサラダまで、世界各国のMSCアンバサダーと食の求道者たちが、サステナブル・シーフードを最大限に味わう方法をご紹介します。

Tinned fish with capers and toast
節約料理:ケッパーを添えた缶詰の魚とトースト
写真:iStock - Kuvona

節約レシピ

経済情勢が厳しいときは、節約のためのアイデアや、買った食材を最大限に活用することが必ずトレンドになります。19世紀に誕生した魚の缶詰は、現在も需要が衰えることはありません。缶詰の魚は比較的手ごろな値段なうえにタンパク質が豊富で、新鮮な魚よりも用途が広く、無駄になる部分も少ないです。漁獲された魚のほぼすべてを食すことができるなど、数多くの利点があります。

缶詰といえばツナ缶が定番ですが、イワシ、ムール貝やアンチョビ、アサリにザルガイ、天然のカラフトマスやベニザケなども試してみてはいかがでしょう? お手ごろ価格なうえにとてもおいしいです。持続可能な方法で獲られたことを示すMSC「海のエコラベル」が付いた製品を選んでください※。
※日本では手に入らない製品もあります。

魚料理のシェフでレシピ本も刊行しているバート・ファン・オルフェン氏は、魚の缶詰のよさについてこう話しています。「魚の缶詰は、保存できる期間 が長く、価格もとても魅力的で、非常に効率的な製品です。そのほとんどが天然漁獲物であり、100%ナチュラルなものです。養殖魚が使われることはめったにありません。ただし、シーフードをこの先ずっと食べたいと思うなら、持続可能な漁業で獲られた水産物を選ぶようにしなければなりません」

氏は加えてこう言います。「缶詰の魚で本当においしいものが作れるのです。酸味や彩り、クリスピーな食材を加えることによって、ツナやサケのおいしさを引き出すことがポイントです」

ファン・オルフェン氏は、深いうま味を出すためには、イワシとアンチョビがおすすめと言います。「ポルトガル人の好みは熟成したイワシです。よいワインと同じように、時の経過とともに味がよくなるのです。カレー粉(最後に加える)やキッシュ、お米、メキシコ料理のウエボス・ランチェロス(農場風卵料理)の漁師風バージョンなどに使うと最高です」

または、昨年話題になったこちらのTikTok動画のように、魚の缶詰を開けてテーブルにのせ、ビュッフェ形式のおもてなしを試してみるのもよいかもしれません。

節約のトレンドの関連として挙げられるのが、調理器のエアフライヤーです。エネルギー消費量が少ないエアフライヤーは売れ行きも好調で、タイ風クラブケーキ、ガーリックシュリンプ、白身魚のフライといった料理に最適です。

フードツーリズム

新型コロナウイルス感染症によるロックダウンが解除され、人々は再び旅行や食を楽しむようになってきています。2023年の全米レストラン協会(NRA)による食のトレンド予測では、消費者は「世界のユニークな料理と出合って味覚を広げていく」ことを求めているそうです。

ストリートフードやフードコートの時代にあっても人々は、俳優のスタンリー・トゥッチが出演作で行ったように、旅先でおいしい旬の地元の食べ物を探し求めてみたいのです。スコットランドのスカイ島の漁師から物々交換でロブスターをもらったり、東京で朝早くに起きて有名な魚市場でたくさんのマグロを見たあと、朝食にとても新鮮な寿司を食べたりと、シーフードはそのような楽しみ方ができるのです。

ロンドンのソーホーにある「ザ・シーフード・バー」の料理長、ロバート・メイザー氏は「料理人はみな、旅をするのが大好きなんです」と言います。「私は行く先々で食に関する場所を探索します。最近メキシコに行きましたが、チリとエキゾチックなフルーツを混ぜたり、新鮮な魚をマリネにしてセビーチェにしたりするアイデアを得ました」そして、最近ではあらゆる場所がつながっていると言います。「私たちはみな、ソーシャルメディア上でお互いに目を向けています。気に入った料理が見つかったら、その要素を取り入れて自分の料理をアレンジすることもありますよ」

スコットランドのスカイ島の中心地 ポートリー港
スコットランドのスカイ島の中心地 ポートリー港
写真:Claudia de Wet on Unsplash

明確なサステナブル・ラベルの表示

ニュースでは気候変動と生物多様性に及ぼす影響が常に報じられており、世界の消費者は、サステナブル・シーフードをますます求めるようになってきています。独立調査分析機関のグローブスキャンが2022年に実施した水産物の消費者調査によると、北米では10人中7人近くが、海を守るためには持続可能な漁業で獲られた水産物を食べるべきだと考えています。

小売企業ホールフーズマーケットの最新トレンドに関するレポートは、「持続可能な製品であるかどうかが、消費者の購入に影響を与え続けており、数多くの食品メーカーが自社の持続可能性への取り組みの目印となるラベル付き製品の開発に取り組んでいる」と述べています。そして、世界の水産物消費者の実に74%が、小売業者や食品メーカーによる持続可能性や環境に関する主張について、独立した組織による明確なラベル表示が必要と考えています。

イギリスの食品・飲料メーカーPrinces社の持続可能な調達シニアマネージャー、クリス・シャーロック氏は、次のように述べています。「水産物が持続可能かどうかは消費者にとってたいへん重要です。消費者はシンプルで簡単で、効果的に表わすラベルを求めています。ですから、誰でも見分けられるMSCの青いエコラベルはとてもわかりやすい目印なのです」

また、最近の科学研究では、シーフードは比較的CO2排出量の少ないタンパク源であることがわかり、選べば気候変動に配慮できます。買物客の多くが、自分が買う食品が環境に及ぼす影響について知りたがるようになってきており、2023年にはこの傾向がさらに強まるものとホールフーズマーケットは予測しています。

Tin / can of American brand albacore tuna on table cloth with plates of salad a dips behind
サラダのある生活:人にも海にもよい健康的な食品
© Anthony Rayburn

ブレインフード

調査会社ミンテルの「グローバルフード&ドリンクトレンド 2023」では、知的パフォーマンスを最適化するとされる食品と飲料が紹介されています。また、イギリスのスーパーマーケットWaitroseは、最新の食品・飲料レポートの中で、将来のトレンドとして脳にとってよい栄養素を挙げています。ブルーベリー、ブロッコリー、ケール、ほうれん草、カボチャの種、ダークチョコレートと並んで、気分や記憶力を高める食材として、マグロ、サバ、サケなどの脂肪分の多い魚も挙げられています。マグロ、サバ、サケには、タンパク質、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸、ビタミンB12が豊富に含まれています。

「シーフードには、私たちの体内では作ることができないオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています」栄養士のアニー・シーグフリード氏は言います。「つまり、私たちは外部から、なるべく自然な食品からオメガ3脂肪酸を摂取しなければならないのです。オメガ3脂肪酸は、脳の機能や、正常な成長と発達に重要な役割を果たしています。また、血管の炎症を抑え、中性脂肪を減らし、血圧を下げ、善玉コレステロール値を上げるなど、脳だけでなく心臓にもよい影響を与えます」

サステナブルなお魚レシピ2023
https://www.msc.org/jp/sustainable-recipe-2023

「サステナブルなお魚レシピ2023」キービジュアル


世界の食文化に着想を得たサラダ

しなびたレタスと味のしないトマトのサラダの日々はもう終わりです。500人を超える食品業界の専門家を対象とした調査をまとめた全米レストラン協会(NRA)の最新レポートでは、世界の食文化を融合させたサラダが急激に広がっているとしています。生姜、黒ごま、燻製唐辛子チポトレとチェダーチーズ風味のトルティーヤチップス、クリスピーな炒麺(かた焼きそば)、アボカドオイル、唐辛子でできたシラチャーソースなどが使われます。

「ゆずとはちみつは長年にわたって私の定番で、シーフードサラダの仕上げに加えると、柑橘の香りと甘みが加わって、海の風味を引き立ててくれるのです」カナダのシェフでMSCアンバサダーのシャーロット・ラングレー氏は言います。「また、私はコチュジャン(韓国の唐辛子ペースト)もお気に入りで、ビネグレットソースのベースとしてもすばらしいので、何にでもコチュジャンを加えています」

アメリカ人シェフのエイドリアン・チーサム氏が作るのは、じゃがいも、ケッパー、スイートレリッシュ(みじん切りにしたピクルスのソース)を使ったMSC認証ツナのトンナートサラダです。「料理人は素材にこだわります。一番よい状態の素材を使って、お客様の記憶に残る体験を提供したいからです」と言います。

MSC認証のツナのトンナートサラダにトーストをを添えて
MSC認証ツナのトンナートサラダ
写真:David Loftus

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