MSC認証取得漁業は、認証取得後も改善を続け、世界水準の最優良事例を維持できるよう、持続可能な漁業に長期的に取り組んでいます。
MSC漁業認証規格の3原則は、資源の持続可能性、漁業が生態系に与える影響、漁業の管理システムに関するものです。漁業が認証を取得するためには、各原則の平均点が100点満点中80点以上でなければなりません。
漁業は、MSC認証を長く継続するほど、大きく改善していきます。
下のグラフは、現在認証されているすべての漁業のうち、認証更新審査を含め少なくとも2回の本審査を終えた漁業の得点分布を示したものです。3つの原則すべてにおいて、初めて認証を取得した初回審査の平均点(中央値)と、1回目の認証期間終了時に行った更新審査の得点との間に、統計的に有意な改善が見られます。
持続可能な漁業を促進するMSCプログラムの仕組み
MSC漁業認証規格の原則は、25の業績評価指標によって評価されます。100点満点中80点に満たない業績指標が一つでもあった場合、第三者の審査員の判断による条件付きの認証取得となり、漁業は、世界水準の最優良事例に近づけるための改善計画を実施しなければなりません。認証の有効期間中(通常5年間)に条件が満たされない場合、その漁業の認証は一時停止となります。
認証取得漁業の95%以上は、少なくとも1つの条件を達成しています。こうした条件があることによって、漁業は、持続可能な漁業における世界水準の最優良事例に向けて継続的な改善に取り組むのです。
改善措置の実施
条件を達成するためにさまざまな改善措置が行われます。2023年3月までにMSC認証漁業は2,225の改善措置を実施しました。
1つの改善措置によって複数の効果がもたらされることもあります。例えば、漁具を改変することで、さまざまな種の混獲を削減することができます。
過去3年間にMSC認証取得漁業が実施した改善措置の数:437
166
117
74
80
改善事例
マグロ・カツオ類漁業の混獲削減への取り組み
島国フィジーは、マグロ・カツオ類はえ縄漁業での偶発的なサメの漁獲を減らす取り組みを先導しています。
ピンクエビ漁業が魚網にLEDライトを導入
オレゴン州、ワシントン州のアメリカ西海岸沖のオレゴンピンクエビ漁業では、絶滅危惧種の魚を保護するための取り組みを実施しています。
コシオリエビ漁業が科学的な調査を促進
チリのコシオリエビ漁業は、深海の生息域や生態系に与える影響についての理解を深めるために、研究者と協働で漁場の海底環境を調べ、地図を作成しました。
協働により、バレンツ海のマダラ資源を保全
バレンツ海のタイセイヨウマダラとハドックの資源が、適切な管理と各国政府の協働によって増加しました。