MSCは、MSC漁業認証規格第3.0版について、規格が漁業の審査において確実に運用されるよう、変更を行っています。
MSC漁業認証規格第3.0版は、4年にわたる包括的な見直しの後、2022年10月に発行されました。しかしながら、第三者の審査機関や漁業関係者をはじめとするステークホルダーからのフィードバックによって、第3.0版の不明瞭で非常に複雑な部分が明らかとなりました。
MSCプログラムが過剰漁獲の根絶に向け実質的かつ継続的に進歩し続けるためには、こうした問題に対処していくことが極めて重要になります。
このため、MSCは2024年2月に、漁業認証規格第2.01版の使用期間の延長を発表しました。第2.01版は、世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)のベンチマークに適合しており、漁業の持続可能性を示す主要な指標であることに変わりはありません。
MSC漁業認証規格第3.0版とMSC漁業認証規格ツールボックス第1.1版に変更が加えられます。ツールボックスには、審査をサポートする手順が含まれています。
この変更は2つの段階を経て実施されます:
- 技術的問題を解決するために、第3.0版の要求事項を修正する。
- MSC漁業認証規格ツールボックス第1.1 版を含めた、より広範な見直しを行う。ツールボックスの見直しには、新設された「情報の正確性と信頼性の枠組み(ERF)」の外部評価と「リスクに基づいた枠組み」の見直しが含まれます。また、より広範な見直しを通じて、第3.0版の策定におけるプロセスの外部評価を実施するとともに、認証規格の構造および規格策定プロセスを簡素化するための推奨事項と、さらなる問題の特定と対処が提案されます。
技術的問題の修正
2024年6月、MSC評議員会は、MSC漁業認証規格とツールボックスの修正案を承認しました。
これらの修正は、審査や検証の際の矛盾や不明確さの要因となっていた要求事項の記述の問題に対処するものです。
これらの修正は、漁業認証規格を満たすために求められる業績レベルを変更するものではなく、第3.0版で導入された新しい要求事項の多くに変更は生じません。
改訂された漁業認証規格(第3.1版)とツールボックス(第1.2版)は、2024年7月22日(月)に発行され、同日より発効となります。
改訂に至るプロセス
漁業認証規格の改訂版が実用的であることを確認するために、修正された要求事項については、規格に則り審査を実施する第三者の審査員および審査機関が検証を行いました。
また、審査機関を監督する独立認定機関であるASI(Assurance Services International)による確認も実施され、修正内容が明確であり、審査/監査が可能であることが認められました。
MSC漁業認証規格ツールボックスの見直し
MSCは、漁業認証の審査の手順の一部が複雑すぎるという指摘を受けたことから、手順の見直しを行っています。
ツールボックスの見直しには2つの要素が含まれます:
- 「情報の正確性と信頼性の枠組み(ERF)」の外部評価(漁業認証審査の専門家が委員となって主導)
- リスクに基づいた枠組み
ツールボックスの見直しによって、漁業が漁業認証規格を満たすために必要な業績レベルが変わる可能性があります。そのため、提案された変更についてステークホルダーと協議を行うことになります。
ツールボックスの見直しは2024年7月に開始され、2年以内に完了する予定です。
ツールボックスの見直しについて詳しくはこちらをご覧ください(英語)。